沖縄クローン病・潰瘍性大腸炎友の会

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潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。この病気は病変の拡がりや経過などにより下記のように分類されます。
 1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎
 2)病期の分類:活動期、緩解期
 3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症
 4)臨床経過による分類:再燃緩解型、慢性持続型、
  急性激症型、初回発作型

 患者数は、77,073人(平成14年度特定疾患医療受給者証交付件数より)と報告されており、毎年おおよそ5,000人増加しています(図1参照)。

UCとは図1.jpg

 発症年齢のピークは男性で20〜24歳、女性では25〜29歳にみられますが、若年者から高齢者まで発症します。男女比は1:1で性別に差はありません(図2参照)。

UCとは図2.jpg

1.症状と経過は?

 便がだんだんゆるくなることが最初の症状のようです。そして、便は出血を伴い、痙攣性の腹痛と頻回の排便をもよおします。下痢は徐々にあるいは全く突然に始まることもあります。症状が重くなると、発熱、体重減少、貧血などの全身への症状が起こります。また、腸管以外の合併症として皮膚病変、眼病変や関節の痛み、子供では成長障害が起こることもあります。
 多くの患者さんは内科的治療によって炎症はおさまり、症状も消失します(緩解)が、再び症状が発現(再燃)し、再燃と緩解を繰り返します。一般的に発症時の症状が重いほど、炎症の範囲は広いほど手術率が高くなるようです。また、発病してから10年以上経過した全大腸炎型の患者さんは、一般の人より大腸がんを合併する危険性が高くなるようですので、定期的な検査を受ける必要があります。

2. 潰瘍性大腸炎の原因は?

 原因は明らかになっていません。これまでに腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられていますが、まだ原因は不明です。
 潰瘍性大腸炎は家族内での発症も認められており、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられています。欧米では患者さんの約20%に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎あるいはクローン病)の近親者がいると報告されています。近年、世界中の研究者によりこの病気の原因を含めた特異的な遺伝子の探索が続けられていますが、現時点では遺伝に関する明解な回答は得られていません。遺伝的要因と食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発病するものと考えられています。

3. 治療法は?

 現在、潰瘍性大腸炎を完治に導く内科的治療はありませんが、腸の炎症を抑える有効な薬物治療は存在します。治療の目的は大腸粘膜の異常な炎症を抑え、症状をコントロールすることです。
 潰瘍性大腸炎の内科的治療には主に、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、副腎皮質ステロイド剤、血球成分
除去療法、免疫抑制剤があります。
 潰瘍性大腸炎の多くは薬物治療でコントロールできますが、大量出血、中毒性巨大結腸症、穿孔、癌化またはその疑い、内科的治療に反応しない重症例、副作用のためステロイドなどの薬剤を使用できない場合では手術の対象となることがあります。
 手術は大腸の全摘が基本となります。以前は人工肛門を設置する手術が行われていましたが、現在では肛門を温存する手術が主流です。この手術は大腸を取り除いた後、小腸で便を貯める袋を作って肛門につなぐ方法です。この手術方法で患者さんのQOLは飛躍的に向上されています。

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